カラヴァッジョ

イタリア人のバロック画家で光と陰の対比が際立った画家です。光と陰により描かれる人物の圧倒的な存在感は本当に見る人の心をわしづかみするという印象です。今回紹介するのは、「洗礼者ヨハネの斬首」です。これはマルタ島ヴァレッタにある聖ヨハネ司教座聖堂にあります。マルタ島に訪問したときに実際に見ましたが、マルタ島の外の明るさに比べ、教会の中は薄暗く、この絵の人物の鮮烈さが余計に浮き立っていたことを覚えています、教会の本堂にはたくさんのマルタ騎士団の騎士の墓石が装飾され、紋章が飾られていたことも印象に残っています。
カラヴァッジョの人生自体も光と陰が激しく、友人を殺したことでローマから逃亡し、マルタ島に逃げたと言われています。この作品で教皇から免罪してもらったものの、再び暴力沙汰を起こし、最後は38歳の若さで斬首されました。

古民家活用と古本喫茶・貸本喫茶

最近古民家を活用したカフェや飲食店が増えてきました。今まで古い建物はなかなか利用のできない負債のような扱いでしたが、資産として活用できれば資源の有効にもつながるのではないかと思います。日本は不動産では随分資産の蓄積もあり、いろいろな地域でも古民家活用の取り組みがはじまっているように思います。
例えば、先日正倉院展を訪問した奈良でも、ならまち周辺は今までの家屋を活用していろいろなお店が立ち並んでおり、町の雰囲気を残したまま非常によい町おこしができていました。昔に比べ、ものすごく活気のある町に変わっており、うれしく思いました。

欧州でも古本の町、骨董品の町があり、週末には多数の人が訪問してにぎわっています。古民家ではスペースもあることから、喫茶や食事機能もつけた古本屋、貸本屋を開いてはどうでしょうか?できれば、専門ジャンルをいくつかに分けてはしごができるような町並みができれば、本好きにとっては楽しい空間になりそうです。ちょっとした絵・骨董品や音楽なども添えれば最高です。そのような町並みができれば、私自身も引退したら写真集専門の古本屋兼喫茶店を開いてみたいなと夢見たりしています。

MBAで何を学ぶか その1

本日で50日目となりました。
ちょうど「考えること」シリーズが一段落しましたので、新しいシリーズに入って行きたいと思います。
そもそもこのブログの目的は若手のビジネスマンを応援し、日本を元気にしていきたいということでした。その原点に立ち返って、MBAの視点から、経営とは何か、若い世代はどのようなことを学んでいくのが良いかということを書いていきたいと思います。

まずは、最初にMBAで勉強する中身をご紹介したいと思います。
私の理解ですが、MBAとは、Business Administrationを学ぶ実学であり、いかに会社経営をうまく進めていけるかというのが最終のゴールになります。しかしながら、勉強してすぐにその地位に付ける人はまれであり、学んだ知識を経験することで強化し、実践を経て最終ゴールにたどり着く位置づけと思っています。

MBAで学ぶことは下記の図のように、4つのカテゴリーである戦略、リーダーシップ、マネジメント、スキルを学び、もともと本人が持っている土台の人間力を同じ釜の飯を食べる同級生や先輩、後輩との交流で高めていくというような整理になるかと思っています。
最近は土台となる人間力の講義も各大学院では工夫を凝らし、強化していっているように思います。

考えろ、考えろってどうしたらいいの? 意外と知らない「考える」技術15

言葉を大切に
「考える」ことについて自分なりの考察を述べてきました。
最後に伝えたいことは言葉を大切にするということです。白鳥さんの「頭がよくなる思考術」でも記述されておられますが、「考える」という行為は言葉を介して行われます。言葉をいかに大切に扱っていくこと、自分の言葉と他者の言葉が必ずしも完全に意味が一致していないことも認識していく必要があります。

例えば、「山」という簡単な言葉でもその意味は住んでいる地域によって全く異なります。ヒマラヤのふもとで住んでいる人のイメージは峻烈で、危険な場所というイメージである反面、南太平洋の海抜ゼロに近い島々の山のイメージは地面が少し高いところといったイメージではないでしょうか。このような環境、経験、慣習等々さまざまな違いを理解して言葉は使わないとお互いに全く違った理解につながります。

価値観に左右される「考え」
「考え」は価値観にも大きく左右されます。特にビジネスの場合は利益を獲得する活動ですので、相手とトレードオフの関係になる場面が多いということも頭に入れておく必要があります。

15回にわたって「考える」ことを考察してきました。仕事でも勉強でも基本となるのは正しく考えることです。とりあえず、今回のコラムでこのシリーズは最終としますが、折に触れ気がついたことはまた記述していこうと思います。皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。

正倉院展

今日は正倉院展に行ってきました。
毎年というわけにはいかないのですが、日本に帰ってきてから、チャンスがある年には見に行くようにしています。

今年の目玉は下の瑠璃杯でした。

今日は正倉院展に行ってきました。
毎年というわけにはいかないのですが、日本に帰ってきてから、チャンスがある年には見に行くようにしています。

今年の目玉は下の瑠璃杯でした。

今年はガラス関係が多く、カラフルでした。日本は鎌倉時代以降の侘び寂びの影響からか美術品や建築物はモノトーンの印象が強いのですが、実は日本人はかなり色彩色好きで、色にも敏感だった文化ではなかったかと思っています。
今回の出展物でのお気に入りは、紫檀小架 [したんのしょうか]、紅牙撥鏤撥 [こうげばちるのばち]、紫檀金銀絵書几[したんきんぎんえのしょき]といったところです。
まだ、11/12まで期間がありますので、是非見に行ってください。

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2012toku/shosoin/2012shosoin_index.html

日本の伝統色というのも最近の興味です。例えば、玉虫色というとなんとなく、よくわからないにごった色のような印象ですが、実際は極彩色で見る角度で色が変わるというのが玉虫色の特徴です。正倉院展によく出てくる出展物に玉虫厨子というのがあるのですが、再現すると本当にきれいな入れ物です。

実際の玉虫は下のようなきれいな羽根を持った虫です。

これ以外にも「あさぎ色」というのも言葉の印象と色が異なる色だと思います。(というか、私自身が誤解していたのですが)
黄色系ではなくきれいな青色です。浅黄色というのもあるようですが、着物とかではこちらの浅葱色が一般的です。

三国志読み比べ

今最も読みたい本は宮城谷昌光氏著の「三国志」です。吉川英治氏の三国志を若い頃から愛読しており、陳舜臣氏の「諸葛孔明」も大好きでしたが、北方謙三氏の三国志を読んでから、違った視点の三国志を読むのも面白いなと思っています。
宮城谷氏は中国史に精通された素晴らしい本を書かれる方で、「重耳」や「管仲」などを読み、非常に面白く、折を見て再読、再々読しています。
自分の読書スタイルは気に入った本は周期的に読み返す習慣があり、吉川英治氏の三国志については、5,6度は読み返していると思いますが、北方三国志に目覚め、次は宮城谷氏と思い定めています。読み返すスタイルのため、購入して手元に置くのが基本なので、文庫本が出揃うまで、もうしばらく辛抱が必要です。その間は陳舜臣氏の「曹操」を読んでみようかと思っています。

北方謙三氏の「楊令伝」も読みたい本のひとつです。こちらはようやく文庫本の刊行も終了しましたので、そろそろ読み始めようと思っています。「水滸伝」が本当に面白く、人物も魅力的だったので、今からわくわくしています。でも、文庫本がそろうまでにということで、少し前に楊家将を読みましたが、その続編の「血涙」が読めていないので、先にそちらを読んでからにしましょう。今年は年末年始の休みが長いので、集中的に読んでみるつもりです。

今回のお題は本でしたが、漫画なら何かなと考えて見ました。昔を懐かしむということで、高橋留美子氏の「メゾン一刻」、あだち充氏の「みゆき」たがみよしひさ氏の「軽井沢シンドローム」何かがもう一度読んでみたい漫画としてあげてみました。いずれも学生時代の懐かしい思い出のコミックたちです。

めぞん一刻 (1) (小学館文庫)

めぞん一刻 (1) (小学館文庫)

教会になぜ絵画が多いか

欧州の教会を回るとたくさんの絵画に圧倒されます。アッシジなどは教会の壁に漆喰で絵が描かれており、有名なフランチェスコの生涯を描いた絵が並んでいます。
日本人は識字率が高いことや漢字という表意文字であるため、文字を見るだけで理解ができますが、その頃の欧州は識字率も低く、キリストの教えを理解させるために絵画が発達したのでした。教会も競って素晴らしい画家を集め、人々に教えを周知させていくかに力を注いだ結果、たくさんの美術品が教会に収集されることになったのです。
宗教画は日本人にはなかなかとっつきにくいですが、最近は宗教画の背景を解決した本も多く、いろいろな発見があります。私も欧州に行って、少し勉強したら俄然面白くなり、宗教画も結構見るのが大好きです。少し前にはやった「ダビンチコード」なども絵やイコンの意味をうまく使って物語が進みます。イコンは、昔はキリストを示す平板な絵を意味しますが、最近ではアイコンという言い方の方が一般的になりました。フロッピーやフォルダーの絵のように、省略化した絵で意味を示すものです。イコノロジーという図像解釈学というのも最近発達してきており、絵を使った一種の謎解きのようで、面白いです。時間ができれば少し深く勉強し、もう一度欧州の絵画を回ってみたいなと今は夢見ています。

絵画で読む聖書 (新潮文庫)