考えろ、考えろってどうしたらいいの? 意外と知らない「考える」技術5

ビジネス界で「考える」こと
今回は今までのコラムから少し脱線して、ビジネス界では「考える」ということに関し、どのような勉強をしているのかを紹介したいと思います。

ビジネスにおいて、過去のもっとも有名でポピュラーな手法は「QC7つ道具」ではないかと思います。その後「新QC7つ道具」といったものも出て、盛んにセミナー講習会が行なわれていました。私自身も会社に入社したときには、ビデオ教材を活用して勉強したことを覚えています。このほか、KJ法(川喜多二郎先生が考案した創造的問題解決法)やKT法(ケプナートリゴー法 問題解決と意思決定のプロセスを体系化した手法)などが有名ではないかと思います。

最近はロジカルシンキングクリティカルシンキングといった内容で、セミナーや本がたくさん出ています。私もG社のクリティカルシンキング研修を受けたことがあり、非常に勉強になりました。そのときにとりまとめた研修内容の要約をご参考までに記載しておきます。

クリティカルシンキングの4つの基本姿勢

①目的は何かを常に意識する
何かを考える際に、「何のために考えるのか」を明確にすること。
イシュー(そもそも何を考え、論じるべきかという意味)をしっかり押さえる事と言い換えることも出来る

②前提条件、置かれた環境に合わせて考える
できるだけ客観的に考えること。
つまり、自分自身や相手の思考のクセを意識しながら考えることである。
「思い込み」や「抜け」を少なくする。

③イシューを踏まえたうえで、「考える枠組み」を考える
「どんな項目について考えれば、目的を果たすことができるのか」を考える。
ビジネスの既成の枠組みを使いながら考えてみることが重要。例)3C、バリューチェーン

④問い続ける
何らかの結論に達したと思っても、そこで思考を止めず、さらに考え続けること。

クリティカルシンキングの3つの方法論

①正しく論理を展開する
理屈をちゃんと説明した上で、主張を明確にする。

②因果関係を把握する
原因と結果を明確に意識する。因果の逆転がないように気をつける。

③構造的にアプローチする
一部だけを抜き出して考えるのではなく、まず全体的な「構造」を明らかにしてから、考えを進める。

MECE
クリティカルシンキングロジカルシンキング)で基本となっている手法としては、ロジックツリーやピラミッドストラクチャーと共にマッキンゼーMECEがもっとも有名な手法の一つではないでしょうか。

MECEは、ミーシーと呼ばれ、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略であり、日本語に訳せば「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉であるとのこと。 要するに「重複なく・漏れなく」という意味になります(ウィッキペディアより)。

ウィッキペディアでは、MECEの参考例としてモノ作り企業で、高品質・低価格な商品を作るために、というテーマ(MECEではイシューと呼ぶ)を上げています。良い参考例と思いますので、ご参考まで記述しておきます。

•商品に必要な「機能」 — 商品に必要な品質(有益機能) or あっては困る不都合な特性(有害機能)— を漏れなく挙げる。
•工程を 原材料 - 製造 - 加工 - 輸送 - 販売 - 使用 - 廃棄 というように「時間」的に漏れなく挙げる。
•製品故障をなくして生産性を上げるために、発生箇所・原因箇所を「空間」的に漏れなく挙げる。
•故障を安く撲滅するために、対策案を「科学」的に(重力・電気力・磁気力、固体・液体・気体)漏れなく挙げる。

この手法はいわゆる分析を行なう上でのもれを無くし、全体を俯瞰して考えることを意識した手法と言えます。

MECEの練習事例については、以前紹介した渡辺健介さんの「世界一やさしい問題解決の授業」(2限目 問題の原因を見極め、打ち手を考える)にもちきりんさんの「自分の頭で考えてみよう」(第3章 あらゆる可能性を考えてみよう)でも使い方例としてわかりやすい事例を載せられていますので、ご参考にされたらよいと思います。

自分のアタマで考えよう

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世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

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