考えろ、考えろってどうしたらいいの? 意外と知らない「考える」技術9

イシューを見極める
本章は前回に引き続き、考える対象を明確にすること=イシュー について書きます。
とはいえ、自論を展開するより「イシューからはじめよ」の安宅氏の論拠の方がよくまとまっていることから、まずは「イシューからはじめよ」のステップをご紹介しつつ、自分の意見を述べる形式で進めていきます。

イシューを見極めるためには、まず仮説を立てることが重要です。多少強引にでもまずこの仮説を立てないと、
①イシューに答えを出すことができず、
②必要な情報・分析すべきことがわからず、
③分析結果の解釈が明確にならない
からです。

言葉の重要性
その際重要なことは、言葉で表現することが大切です。なぜ、言葉か?
人間は言葉にしない限り概念をまとめることができないからです。

この点は、超訳ニーチェの言葉」で有名な白鳥春彦氏の「頭がよくなる思考術」でも第一に書いて考えることの重要性を指摘しています。

よいイシューの条件
安宅氏はよいイシューの条件として、以下の3つをあげています。
①本質的な選択肢である
②深い仮説がある
③答えを出せる
以上の点を意識しながら、まずイシューを設定することです。

3つのコツ
イシューが設定できれば、必要な情報を集め、分析することになりますが、安宅氏は3つのコツがあるとしています。
一次情報に触れること、基本情報をスキャンすること、そして集めすぎないこと・知りすぎないことです。
最後のコツは意外に思う人も多いと思いますが、枝葉末節にとらわれて正しい分析ができなくなることの戒めであると理解しています。一方で、重要なことは基本情報をスキャン(収集)することですが、いかに最新情報でスキャンできるかがもっとも注意を払うべき点ではないかと私は思います。

安宅氏は、簡単に仮説を生み出し、イシューを特定できないアプローチとして、以下の5つも紹介しています。
①変数を削る
②視覚化する
③最終系からたどる
④「So what?」を繰り返す
⑤極端な事例をあげる

いずれも考える上で基本的なアプローチであり、身に付けたい点です。
変数を認識しておくことは、問題を測る上でも何を変数としているのか意識しておくことが大切であり、変数を削るというのは、定数化するという行為に他なりません。例えば、人口が変動する社会において、問題を考える上で人口がどの程度変化していくのかを考えておくことは重要ですが、問題が複雑化する場合はあえて人口は一定で推移するものと仮定して考える、これが変数を削る一例です。

最終系からたどるというのもよく実施するアプローチです。例えば、最終目標としてありたい状況をイメージし、そこからイシューを導き出していこうというアプローチです。実務的にはよく実施する手法のひとつです。

他のアプローチについては、自分でどのような事例があるか考えてみてください。今回は本のサマリーのみをあげており、キーワードを記載しています。読み手にとっては具体的な事例を紹介すれば理解が深まります。一方で、その事例を読めば理解した気になります。大事なことは、このような抽象的で重要なキーワードを自分の経験や知識を結びつけて具体的な事例化を試みることです。この行為を繰り返すことで、深く考えることができ、読んだ本の理解も深めることができます。