会計と経済性工学を勉強しよう その1

企業で働く人にとってもうけることは大切です。まずは、もうけることに関する基本的なスキルについて、今回からとっかかりになる知識をお伝えしていこうと思います。

“Going concern”
企業は長期的な利潤拡大を目的として存在します。“Going concern”を前提に、戦略を設定し、組織が整えられ、日々の活動が実行されます。利益をいかに獲得していくかは、企業に働く人にとってもっとも大切な考えるべき点になります。

まずは、企業に入った人はもうけるということはどういうことかということを理解していく必要があります。その基本となるものとして、会計学があり、経済性工学があります。本ブログでは、基本的な概念をお伝えしたいと思います。

企業の設立の歴史
まずは企業の設立について考えてみましょう。
まず会社を設立して事業を始めるに当たっては、何がしかの投資が必要です。もうかるかもうからないかの原点は、初期の投資を行い、その投資を上回るリターンがあるのかどうかがキーとなります。

世界で始めて設立された会社と言われている東インド会社の貿易事業を例にとって考えてみましょう。
東インド会社は貿易によって事業を生業としていました。貿易を行うためにはまず船が必要であり、次に相手に売りに行くための物資が必要であり、航海の人を雇い、食料や水の準備等、事前に資金が必要でした。これを事業としてひとりで資金を負担して行うのはリスクが大きすぎることから、出資者を募り、会社を設立して事業をはじめたと言われています。
東インド会社以前では、1回毎の貿易で清算するのが一般的でした。ところが、東インド会社の場合は、企業として永続していくのが目的ですから、準備した船は複数回の航海が前提となります。
例えば、3回の航海を前提に資金を出資してもらうことにしたとき、売るための物資や航海の費用は1回ごとですが、船を建築する費用は最初の1回のみです。この費用をどのように按分するのかというのが、減価償却費のはじまりといえます。なぜなら、1回目の出資者に船の建築費用を負担させるのであれば、2回目以降の出資者は船をただ乗りで使うことになり、その分のリスクは低減します。これを分割するというのは出資側からすれば合理的ですが、船の建築側にとってみれば先のあてのない資金で船を作るわけには行きません。船を作る材料も職人への支払いもしなければならず、一括でもらわないと割りに合わない話になります。このような考えから、投資と減価償却費の関係ができたわけです。
つまり、船の建築はすべての支払いをまず実施し、資産としてあげ、航海ごとに3分割して出資者に費用として負担させるというしくみとなりました。これが、いわば資産計上と減価償却費の原型です。
減価償却費における残存価値という概念は、この船の例でいうと、3回の航海が終了後も船がまだ存在したとき、その船の利用価値は残っています。遠距離航海はできなくてもドーバー海峡あたりの航行はでき、乗客を乗せる商売はできたかもしれません。本来の事業活用後も利用できる価値も評価しましょう、その分は最初の3回の航海での費用負担の割引にしましょうというのが残存価値の原型です。

以上が、減価償却費の概念ですが、もうかるかどうかという点ではこの投資と減価償却費の関係は重要ですので、まずはこの点をよく理解してください。
次回は具体的な事例を使いながら、説明をしていきます。